発掘調査が2021年10月21日~24日の4日間南知多町山海で行われました。
NHK番組「ナビゲーション」にて、発掘の様子が放送されました。

ナビゲーションの配信ページ
ナビゲーション「化石が教えてくれたこと~密着“師崎層群”発掘調査~」 – NHKプラス
オンデマンドサービスの登録ページ
発掘地での許可なき土石採集は禁止されておりますのでご注意ください。
師崎層群発掘調査が10月21日から24日の4日間、愛知県南知多町山海で行われました。地元の小学生や愛知県内の高校生なども発掘体験に参加され、実りのある発掘となりました。また最終日には、愛知県の大村知事も視察に来られ、発掘報告会でご挨拶いただきました。

CBCテレビにて報道されましたので、是非ご覧ください。
https://hicbc.com/news/article/?id=2021102409

こんな化石が発掘されています。右Play▶をクリック
知多半島先端の地上に見える崖は、1800万年前には数百m近い深海底に積もったものと考えられています。つまり南知多町・美浜町は、1800万年かけて数百mも隆起してできた街ということになります。今回はこの地上の深海を掘って調査します。
師崎層群の露頭

地元の自然遺産を研究するため40年ぶりに主要産地の発掘調査を行います。
1980年代初頭,知多半島を開発する大型の造成プロジェクトが始まりました。その時に大量の魚化石と深海生物群化石が発見される場所が見つかりました。今回40年ぶりにその場所を掘り進め,地元の自然遺産の確認と研究を行います。さらに郷土の財産が地元の教育活動として活用できるよう推進していきます。

ハダカイワシの発光器が残っていた!
本来なら腐ってしまう軟体部まで残っています.世界が驚いたのは深海魚に見られる発光器まで完璧に保存されていたことでした。

知多半島にはどんな秘密が隠れているの
1800万年前の愛知県は深い海の底でした。何度も海底地すべりが発生して当時の海洋や深海にすんでいた生きものたちが土砂に急激に埋もれて化石になりました。海溝と深海と海底地すべりが偶然にそろって残された『生命史奇跡の1ページ』が地元に残されています。そこは世界でも稀な地球の歴史の保管庫なのです。私たちは深海を直接見る機会はありません,でも知多半島には目の前に深海の様子を観察できる場所があるのです。

世界は知っている!地元の隠された宝物
愛知県の知多半島は世界的にも珍しい深海生物の化石がたくさん産出します.本来なら腐って残らない体の軟体部が保存されている魚化石や新種の深海コシオリエビなどが発見され,世界でも一級の標本として知られています.海外の有名な古生物学の教科書にも日本の代表化石として紹介されています.2016年には師崎層群の海生化石群として「県の化石」として認定されました。


近年になって本格的な深海調査が行われるようになり,深海生物の進化を知る過去の情報が不可欠になってきました。知多半島の深海生物化石群は,1993年代に発見の概要がまとめられて以降その奇跡的な保存状態から世界的に有名になりましたが,次々と新たな解析手法が開発され,最近では魚化石に腹部の脂肪分の油や眼の構造まで残されているらしいなど,新たな発見が続々と報告されるようになり,現在さらなる研究に期待が寄せられています。
そこで今回,新たな研究を進展させるために追加標本を探すことになり,合わせて将来の自然史博物館構想を見据えて,博物学の活動を広く知っていただくために,調査・研究・展示・普及・保管活動を公開で進めるプロジェクトを立ち上げました。



永久消滅區域標本
県内には動植物・鉱物・化石など未来に向かって保管管理すべき「郷土の宝である自然史資料」が多くあります。過去から多くの標本などが採取されてきました。しかし、残念ながらそれらの貴重な資料保管はアマチュア諸氏の個人管理に負うところが大きく、人の一生に合わせて長い年月の中で散逸して消えていく現実があとを絶ちません。開発が進み姿を変えていく郷土の隠れた財産をしっかり保管して未来に残し、将来にわたる調査研究が可能な環境を整備する必要があります。そのことを広く知っていただくためにも,マイルストーンの大きな一歩として南知多町と美浜町に広がる『師崎層群』の再発掘プロジェクトを推進します。どうかみなさまのご支援をよろしくお願いいたします。